国宝三昧
- はやしひろこ
- 6月29日
- 読了時間: 2分
更新日:7月5日
夏越の大祓。
奈良の石上神宮と大神神社で、大切な人と一緒に茅の輪くぐり。
うだるような暑さの中、鳥居をくぐると、そこはまるで異世界のように清らかな空気。
「ああ、また帰ってこれた!」と、静かに感謝の気持ちを寿ぐ時間でした。
2025年も半分。
「もうダメかもしれない」と感じたあの日々も少しずつ記憶の彼方へ。人は苦しいことをちゃんと、「忘れる」。大切なこと。
振り返れば、この上半期は〈国宝まみれ〉の日々でした。
大阪万博に関連した三都の国宝展、最後の日にコンプリート!
奈良国立博物館の110点。
京都国立博物館の16点。
大阪市立美術館ではなんと135点もの国宝と対面。
映画『国宝』も、気づけば2回観賞。
キャッチコピーをつけるなら
「2025年、私の上半期は“国宝”だった」になりそうです。
本当はひとつひとつ、じっくりと言葉にしてみたい。
でも今はまだ、ただ静かに感じていたい。
そんな余韻を抱えたまま、今日まで来てしまいました。
映画『国宝』は田中泯さんの存在感に圧倒されっぱなし。
あの佇まいに、かつての人間国宝・中村歌右衛門の影が重なりました。
芝居好きの若かりしころ、歌舞伎と文楽を毎月観に行っていました。
銀座の歌舞伎座、道頓堀中座、松竹座、新歌舞伎座、南座、平成中村座は隅田川、浅草寺、扇町公園、大阪城へ。
推しの先代・勘三郎さんの芝居には何度も泣かされ、ケレン味に震えました。
先代の鴈治郎の『曽根崎心中』も何度も観たけれど、今回の映画『国宝』で、“お初”に泣かされました。
吉沢亮さんと横浜流星さんのあの静けさと熱さ、まだ胸に残っています。
無駄なセリフや音楽がひとつもない稀有な作品。名作として後世に残るでしょう。
李相日監督の『悪人』や『怒り』も素晴らしく時折ふいに印象的なシーンが脳裏に浮かぶのですが、今回の『国宝』も、日常の何気ない場面でふっとセリフや表情がよみがえってきます。
まさに国宝的余韻。
2025年の前半は浴びるように国宝を味わったありがたい半年でした。
この体験が、これからどんなふうに自分の中で熟成していくのかがいまの密かな楽しみ。

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