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身体性と演劇。「ヴィクトリア」

更新日:2023年7月19日


京都藝術大学春秋座で、大竹しのぶさんの一人芝居「ヴィクトリア」をみてきました。


先月まで出町座でも特集をしていたイングマール・ベルイマンの原作を藤田俊太郎さん演出で。


最初の暗転からの風の音から、舞台に惹きつけられ前のめりになり、一瞬も目を離せなくなりました。


美内すずえの『ガラスの仮面』の北島マヤのモデルとも呼ばれていた天才女優大竹しのぶさんの魅力が存分に発揮され、年齢も時間も超越した一人の女性の人生を濃縮した世界がなんとも苦く、切なく胸に残りました。


スタンディングの拍手のあとの八嶋智人さんとのトークショーも楽しかった!

軽いおしゃべりタイムかと思いきや、図らずも他者を演じる中で生じる身体性と演劇論だったからです。

古代、最古の劇場は病院でした。

「医者を悩ます前にまず劇場に行け」という諺があったとも伝わります。


病を得た人は、まず音楽、あるいは演劇、それでもダメだったらメスを使う。

心の働きが身体深く、感情に影響することを知っていたのでしょう。

古代ギリシャでは劇場は病院や教会の役目をしたといいます。

お芝居を通して自分の隠れた側面への気づき、癒しと祈りになるような装置が、コミュニティの中に構築されていたのです。


八嶋さんの軽快なトークは、天才女優しのぶさんらしいエピソードをどんどん引き出し、会場からの質問にも答え始め観客席は沸き返りました。


しのぶさんのチャーミングなエピソード、著作権や知財権もあるので詳しくは書けませんが、


ルナールのにんじんを演じた時の13歳の男の子のとてもリアルな身体感覚のこと。

末期の病人を演じるときの身体エネルギーのこと。


しのぶさんの身体感覚を、マッサージセラピストにも指摘されるというくだりなど、マッサージセラピストとしては、そうそう、と深くうなづいたり。


演じている時には何も考えない完全にニュートラルだそうですが、その時に湧き上がる内側の感覚の描写もさすが大竹しのぶさん。


97パーセントは役に、3パーセントは俯瞰的にみている自分と。

感情が身体を作るについての対話も、ボディセラピストとしてはメモ必至でした。


芝居が好きで、学生時代はのめり込みました。

最近また、芝居熱が蘇ってきています。

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