2008年6月、アロマ セラピストの社会的地位向上と普及、研究などを目指して、産婦人科医師と小児科看護師、アロマセラピストであるわたしと、アロマセラピスト仲間ともにNPO法人を立ち上げました。
定款の作成、省庁への申請、助成金の申請、活動のための会議。
若くて、希望に燃えていました。
徹夜になることもしばしばでしたが、頑張れました。
今も大活躍されているアロマセラピストやホリスティック医療に携わる医師らのご協力もいただき、補完療法であるアロマ セラピー、タッチケア を究めようと、毎日のように活動に没頭していました。
NPO団体では、タッチケア での母子支援、女性支援、東日本大震災の時には東北での支援活動を行い、震災避難者へのサポートも継続して行いました。
研究活動も精力的におこないました。
中山寺では戌の日のイベントで数百人の方にアロマケアを行ったり、阪急百貨店のオープンイベントでも香りとタッチと心拍変動についての研究など、今も思い出します。
わたしは、ここで、ラヴィングタッチケア の土台を構築し、毎年のシンポジウムでの発表や運営、企画など、貴重な経験をさせていただきました。
立ち上げから10年勤めた理事を任期満了で退任しましたが、ずっとその活動を応援し、支えている気持ちでした。
残念ながら、時代の流れの中、諸般の事情で今年6月に、13年の活動に幕を下ろすことになりました。
こころに穴が空いたような、その隙間に風が吹くような、寂しさを感じていました。情けないのですが、整理ができず、NPO団体の活動を支えてくださった多くの方にもまだなにも言えていません。ごめんなさい。
立ち上げ当初、わたしたちは、『りなちゃん、聞いて』という絵本をNPOで出版しました。
30代の女性が子宮頸がんとなり、幼いりなちゃんを遺して旅立つ現実と向き合い、サポートをしていた理事で看護師アロマセラピストの宮里文子さんがアイデアを出し、りなちゃんへ毎年送る誕生日カードを作成して託しました。
シングルマザーであったお母さんが、幼いお子さんを遺していく無念な思い、悲しみ、成長していく姿を見届けたり、悩んでいる娘のそばに寄り添うことができない苦しさを超えて、どうしても、伝えたかったメッセージを丁寧に集めて、柔らかなタッチのイラストとともに絵本にしたのです。
絵本には、本当にたくさんの想いが込められていました。多くの方の心に響きました。
絵本が一冊売れるたびに、みんなで喜び合いました。
資金の乏しい団体でしたが、収益の一部を寄付しました。
この絵本は、大きな反響を呼び、新聞各社にも取材をしていただき、テレビ番組「アンビリバボー」でも取り上げていただきました。
今、帰宅して新聞の記事の写真が目に入りました。
あのときの、りなちゃんです!!
弁護士さんに託した、お母さんからの誕生日カードは約束通り毎年、りなちゃんに届けられ、小さな少女は笑顔の素敵な女性になられていました。
児童福祉士を目指しておられると。
りなちゃん、ありがとう。
人と人のつながりと想いは、これからもずっとずっと続いていく。
あのとき、10年後のりなちゃんのしあわせを願って涙を流した仲間の顔を思い出します。
読売新聞2021年9月25日の記事。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210925-OYT1T50139/
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