「触れること」を学ぶことは、「自分を大切にすること」を学ぶこと
更新日:8月13日

先日、家族こども介護大切な方への手と腕へのラヴィングタッチケア講座のフォローアップミーティングを開催しました。
4月に開講してからオンラインでの座学、実技、対面講座を終えてから、それぞれの日常のなかで感じたこと。
学んだこと。
タッチケアを実践してみて気づいたこと。
そして、いま考えていること。
参加されたみなさんと、ゆっくり言葉にして分かち合いました。
講座のなかでは、手技だけを学ぶのではありません。
「どのように触れるか」だけではなく、
どんな気持ちで触れるのか。
どんなまなざしで相手と向き合うのか。
そして、自分自身をどう扱っているのか。
そんな「在り方」についても、一緒に考えていきます。
〈大切な人のなかに、自分自身も入っていますか?〉
タッチケアというと、
「誰かを癒すためのもの」と思われるかもしれません。
けれど、講座で大切にしているのは、
大切な人のなかに、自分自身も入っていますか?
という問いです。
誰かのために頑張ることができる人ほど、自分自身のことは後回しになっていることがあります。
自分の身体に触れる。
呼吸を感じる。
手の温度を感じる。
疲れていることに気づく。
心地よい、嫌だ、緊張している、ほっとしている。
そんな小さな感覚に耳を傾ける。
セルフケアは、自分を甘やかすことではありません。
自分自身との関係を取り戻していくこと。
それも、ラヴィングタッチケアの大切な学びのひとつです。
〈「触れる」ことを、もう一度深く考える〉
参加者からは、こんな感想がありました。
「ラヴィングタッチとは伝えてもらっていましたが、当たり前のこととして深く考えていませんでした。でも、とても大事な行為なんだなと。ひとつひとつの『触れる』ということを大事にしていきたいと思いました」
そして、
「人生でもっと早く知りたかったと思ったけれど、今が自分にとって必要な時期なのかなと思った」
という言葉も。
「もっと早く知りたかった」という思いと同時に、
今、このタイミングで出会った意味がある。
そんなふうに受け取ってくださったことが、とても嬉しく感じました。
〈手技よりも、その奥にある「在り方」〉
講座では、身体についても学びます。
骨、筋肉、腱、神経、皮膚。
感覚受容器や筋膜。
そして、ホルモンや自律神経など。
身体は本当に複雑で、不思議です。
手や腕へのタッチが、筋膜など身体のつながりを通して全身の感覚に影響すること。
腕へのリラクゼーションが思っている以上に深いこと。
触覚が、私たちの身体と心にとって大切な感覚であること。
学べば学ぶほど、身体の奥深さに驚かされます。
けれど、講座を通して参加者が感じたのは、
「それでも一番大事なのは、手技ではなく『在り方』なのではないか」
ということでした。
どんなに正確な手技でも、
「早くやらなければ」
「上手にやらなければ」
という気持ちで触れるのと、
相手を大切に思い、
「ここにいますよ」
という気持ちで触れるのでは、触れられたときの感覚が違います。
〈「完璧ないい人」でなくてもいい〉
印象に残った言葉として、
「自分が普段、完璧ないい人でなくてもいい。でも、タッチケアをしている間はラヴィングに」
という感想がありました。
これは、私自身もとても大切にしていることです。
いつも優しくいられるわけではない。
イライラすることもある。
疲れることもある。
余裕がなくなることもある。
それでいいのです。
だからこそ、
触れる時間だけは、相手を大切にする。
そして、自分自身も大切にする。
その「意図」が、タッチケアにはあります。
〈「あたたかい眼差し」というセルフケア〉
講座では、手技だけではなく、
「あいうえお」の「あ」で思い出せる
「あたたかい眼差し」
ということも大切にしています。
参加者からは、
「仕事でも家庭でも、ちょっとイラッとしたとき、焦っているとき、『あたたかい眼差し』と心の中で唱えると、私の真ん中で居られます」
という素敵な感想をいただきました。
相手を変えようとする前に、
自分のまなざしを少し変えてみる。
相手を評価するのではなく、
「この人も今、一生懸命なんだな」
と眺めてみる。
それだけで、自分の呼吸や身体の緊張が少し変わることがあります。
タッチケアの時間だけではなく、日常の人間関係にも持ち帰ることのできる学びです。
〈「触れる」と「触れられる」の両方を体験する〉
今回の対面実技で、多くの方が口にされたのが、
「実際に受けることが一番勉強になる」
ということでした。
右腕と左腕に同時にタッチを受ける。
手の温度を感じる。
圧の違いを感じる。
スピードの違いを感じる。
自分の呼吸がどう変化するのかを感じる。
触れる側だけではわからないことが、たくさんあります。
そして、
「触れられるだけで涙が出たのは初めての体験でした」
という感想もありました。
別の方からは、
「ペアワークで相手の方の涙が出たとき、触れ手の想いが伝わるんだなと思った」
という言葉も。
タッチケアでは、相手の反応を「起こそう」とすることはしません。
泣かせるために触れるわけでもありません。
ただ、その人の今の感覚に寄り添い、安全に、丁寧に、尊重して触れる。
その結果として、身体や心が動くことがあります。
だからこそ、タッチケアを行う側には、
知識だけでなく、倫理性やリスクへの理解、そして自分自身を整える力も必要です。
「良いこと」だけを見るのではなく、負の側面やリスクについても学ぶ。
それも、この講座で大切にしていることです。
〈手がきれいになった? 呼吸が整った?〉
面白い気づきもありました。
「ワークをしていくなかで、どんどん自分の手が綺麗に!クリームをまだ塗っていない段階から、普段見たことのないツヤ感があり、びっくりしました」
そして、
「呼吸が整うこと。環境、居心地も大切だと再認識しました」
という感想も。
触れることは、単に皮膚と皮膚が接触するだけではありません。
呼吸、姿勢、表情、声、温度、圧、スピード、空間。
その場にあるさまざまな要素が重なって、「安心できる体験」をつくっていきます。
だからこそ、
触れ方だけではなく、場づくりも大切。
講座では、そんなことも体験を通して学んでいきます。
〈やっぱり「リアルに会える」こと〉
今回、対面講座についての感想もたくさんいただきました。
「実際にはやし先生やみなさんにお会いしてお話できたことが一番嬉しくて楽しかったです」
「やはり対面は素晴らしかった。お相手のお顔、手、肌に触れられる。温度も感じられて、感想もすぐに聞けました」
「触れてもらうこと、触れることで、どちらも身体と心に温かみを覚え、初めましてと出会ったばかりでも親しみが持てた。そして、触れ合っていることで安心できた」
オンラインでは伝わりにくいものがあります。
手の温度。
呼吸の変化。
肌の感触。
表情。
声の響き。
その場に流れる空気。
そして、人と人との間に生まれる安心感。
今回、改めて「人が直接出会うこと」の大切さを感じる時間にもなりました。
〈一つひとつの「触れる」を大切に〉
フォローアップミーティングでは、手技の一つひとつも、改めて丁寧に復習しました。
ふれかた。
向き合いかた。
まなざし。
圧の違い。
スピード。
そして、
「大切にされている」と感じられる触れ方。
技術を覚えて終わりではありません。
何度も実践し、自分自身が「触れられる体験」を重ねることで、少しずつ身体に落とし込まれていきます。
そして、その学びはタッチケアの時間だけにとどまりません。
家族との関わり。
仕事での人との関わり。
子どもとの関わり。
自分自身との関わり。
「大切に触れる」という感覚は、日常のさまざまな場面につながっていきます。
〈次回の講座・練習会について〉
今回のフォローアップミーティングをもって、ひとつの学びのサイクルが一区切りとなりました。
アーカイブは今年いっぱいご覧いたいだけます。
ご参加くださったみなさん、本当にありがとうございました。
学んだことを忘れてしまっても大丈夫。
また思い出して、触れてみる。
自分の身体を感じてみる。
誰かに優しく触れてみる。
そして、
「大切な人」のなかに、自分自身も入れてあげる。
その繰り返しが、ラヴィングタッチケアなのかもしれません。
次回の講座・練習会は、来年を予定しています。
また、触れること、触れられることを一緒に学び、感じる時間をつくれたらと思います。
ご一緒できる日を楽しみにしています。
つむぎの森






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