乳がんは日本人女性がかかりやすいガンの
なんと第1位になっていて、
30人に一人がかかるといわれるほど
ありふれた病気のひとつになっています。
早期発見をするとほとんど治癒するけれど、
発生率や死亡率は実は年々増加しているのです。
欧米では検診の普及により、
死亡率がどんどん低下しているのに、
日本では検診があまり普及していないことから、
発見時には手遅れのケースも多いのだと聞きます。
去年、関西医大付属病院乳腺外科の医師であり、
大切なお姉さまを乳がんでなくされたことを
きっかけに、乳がん検診をすすめる
《J.POSH 日本がんピンクリボン運動》を
精力的に行っている、田中完児先生から
乳がんについて勉強させていただきました。
乳がん患者さんの告知からの心の変化、
不安の変化について、
乳がんになったことで起こる、家族やまわりの
人々の恐怖と葛藤と複雑な気持ち、
手術を含むつらい治療を耐えなければならないのに
患者さんはとても孤独であること、
痛みや悲しみについて、
丁寧に丁寧に、情熱を込めてお話しして
くださいました。
それ以来、わたしはケアルームにお越しになるお客様の
年齢や子どもの有無、体調、痛みや主訴などから
「お守りだと思って、一度受けてみたほうが
いいですよ」と何度検診をお勧めしたかわかりません。
やはり皆さん、気になっていたことなのか、
これまでに10人近くのかたが、
トリートメントのすぐあとに
予約をとって検診に行ってくださいました(^.^)
特に子どもを持つお母さんは
子どものために病院に付き添うことがあっても
自分のためとなると、ぎりぎりまで
病院にいくことはできません。
わたしもそうです。
35歳を過ぎて、子どもを生んでから2年以上経過し
血液検査などもしたことがなければ
自分を守るために、子どもや家族を守るために
検診を受けることをこころからお勧めします。
と、前置きがとても長くなってしまいました。
実は昨日、ケアルームのお客様で検診を受けた方が
「精密検査の必要があるといわれました」と
相談にこられたのです。
まだ結果が出たわけではありませんが、
ひどく落ち込み、顔色は悪く、すっきりしません。
考えないようにしようと思っても
やはりいつもそのことが頭に浮かんできて、、、
と話されます。
私自身、大切な大切な友人を乳がんで亡くし、
入院中もアロマセラピーのケアをするために
病院へ通った経験がありますし、
緩和ケアでも乳がんの患者さんを
何人か担当させていただいたことがあります。
そこで乳がんとアロマセラピーについて
海外も含めて、様々な文献を調べました。
わたしの友人が乳がんとなり
緩和ケア病棟に入院していたとき
精油のセットを持って何度も通いました。
彼女は末期といわれる状態でしたが
精油の優しい香りを心から喜んでくれ、
わたしは友人の大好きな香りを使って
ハンドマッサージや
足のマッサージを行いました。
もう話すのもしんどい、という時にも
精油の香りがするとうっすらと眼を開け、
小さくうなずいてくれたのでした。
気がめいるような病院の匂いの中で、
アロマの香りはご家族をも励まし、勇気づけて
くれていたと思います。
乳がんの方に(乳がんと限りません)できることが
実はアロマセラピーにはたくさんあります。
今日はその方法をご紹介していきたいと
思いますが、最初にお断りをしておかなければ
なりません。
アロマセラピーは代替補完医療として、
研究も少しずつ進み、医療の現場でも
活用されることが多くなってきています。
ですが診断をしたり、治療をすることは
あくまでも医師の仕事となり、
アロマセラピストにはできません。
また精油は植物から採られた天然の芳香物質ですが
何10種類もの化学成分の集まりです。
使い方を間違えると様々なトラブルを引き起こす
ことがあります。
自己判断ではなく、きちんと医師の診断を受けて
許可を取った上で、
専門の知識を持ったアロマセラピストの指導の基で
アロマセラピーを活用していただくことを
どうかお約束してくださいね。
日本では雑貨屋さんで精油が
簡単に手に入るので、手軽で安易なものという
イメージを持たれているかもしれません。
くれぐれも気をつけてくださいね。
何度も繰り返しますが
アロマセラピーで「ガン」を「治療する」
ことはできません。
また治療を目的として施術することは
どんな病気であれ、ありません。
とはいうものの、辛く悲しく
時には痛みも伴うがんの治療の中で、
精油の香りを使ったマッサージ(タッチ)は
ガンの患者さんにとって
何ものにもかえがたいほどの慰めと心の平安と
希望と励ましとサポートをもたらすことが
できるのです。
緩和ケアで出会う患者さんも、
たとえほんの少しの時間であっても
アロマセラピーの心地良い香り、
また温かい手のぬくもりを
心待ちにしておられます。
「アロマセラピーは良さそうだけれど
ガンの方にマッサージを行ってもいいの?」
という心配が、ご本人にも家族の方にもあると思います。
たしかに一部の医師の中には一切のマッサージに
反対している方もおられます。
これはマッサージによって病巣が転移をすることを
懸念してのことだと思います。
しかしこの「マッサージによってリンパ系を過度に刺激し
それによって転移を促進する」恐れは
ぐいぐいとかなりの力をこめるマッサージを念頭に
置いたものだ、といわれています。
現在では、多くの医師が、ソフトで注意深いマッサージは
患者さんに害を与える恐れはほとんどないだろう
むしろタッチによる深い部分でのコミュニケーションが
患者さんに癒しとリラックスを与えるという理由で、
「なくてはならないものだと思います」
(『セラピスト2005.10月号』 P89より引用)
と感じているようです。
(もちろんすべての医師ではありません)
乳がんの方へのアロマセラピーでは
・ストレスの緩和
・不安で眠れない夜のためのリラクセーション
・痛みの緩和
・放射線治療の際の皮膚炎の予防・緩和
・術後の不安やストレスの軽減
・術後の浮腫や運動機能の改善
・食欲がないときの食欲増進の香りの効果
などが具体的に可能だと思います。
乳がんの方にとって、
アロマセラピーは治療の代わりには
ならないけれど
(代替療法としての使用は
これから増えていくと思いますが)
辛く苦しい痛みを伴う治療の枠組みのなかで、
大きな慰めや希望や安心感をもたらすもので
あると前回書きました。
では実際に、乳がんの方に
リラックスのためのアロマセラピーを
行うとき、どんな精油を選べばいいのでしょうか。
基本的には、好きな香りであれば
どの精油を使ってもいいと思いますが、
避けたほうがいい精油もありますので
禁忌について
お話しをしておきます。
精油(エッセンシャルオイル)は
植物の芳香成分を含む部分を
水蒸気蒸留にかけることで抽出される、
とても濃縮された揮発性のある、
植物のエッセンスであり
化学成分の集まりです。
精油の薬理作用というとき、
たとえば、エステル類の化学構造を
持つ成分を含む精油には
抗炎症作用や神経系に対する鎮静強壮作用を
期待します。
ですからエステル類を多く含む
ラベンダーやネロリ、ベルガモット
クラリセージには心を静めたり
炎症を鎮める作用があるのです。
その化学成分はそれぞれに
多様な働きがあり、
精油をまるごと使う時には
たとえば皮膚刺激をもたらす
成分が含まれていても
その皮膚刺激を治めてくれる成分も
含まれていることが多く、
濃度や使用法を間違えなければ、
安全に使用することができるのです。
(中には成分が強すぎる精油もあります。
注意してくださいね)
それら成分の中に、女性ホルモンのような
働きをするものがあります。
この女性ホルモン様作用のある精油は
生理不順や生理痛のときには
強い味方となってくれますが
乳がんに限っては、この女性ホルモン様の
作用がさらにガンの活性化を促してしまう
のではないか、と危惧されているのです。
はっきりとした研究データがきちんと
出ているわけではありませんが、
これらの精油の使用は控えたほうがいいでしょう。
<使用を控える精油>
・フェンネル
・アニスシード
・クラリセージ
・ローズ
・ゼラニウム
また治療の際の薬剤の働きを阻害する
恐れのある精油として宝塚で産婦人科医をされている
大門先生のメルマガに以下のものも
記載されていました。
現時点では根拠を完全に確認していませんが
避けておいたほうが良いと思います。
<使用を避けたほうがいい精油>
・シダーウッド
・シナモン
・ジュニパー
・ユーカリ
・レモン
などです。
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