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執筆者の写真はやしひろこ

いつか咲く花は

下の子どもが通う保育園の園長先生は、

元小学校の校長先生なのですが、

とっても愉快で気さくで、子どもたちに大人気です

 

4月は新入園児のために、玄関に各先生方の

写真が貼ってあるのですが、その園長先生の写真が

毎日微妙に変化しています。

最初の日は、いつもの園長先生、

次の日はすこ~し髪の量が増えた姿、

そのつぎの日は髪の毛ふさふさ

(なんと鉛筆で書き足しているところを発見!)。

ここまでくると毎日園に行くのに期待が高まります。

昨日は、園長先生の顔がkatoonの

田口くんになっていました♪

明日はもしかして亀梨くん?

これからの変身が楽しみです。


こんなお茶目な先生ですが、毎週保護者向けに

園便りを発行してくださっています。

B4用紙の裏表のお便りには

親になるとはどういうことか、

叱ることと怒ること、

子どもたちの園での様子などを報告してくださっています。

ユーモアを交えてのお便りは本当にためになりますし、

話題の豊富さにも脱帽します。


この春、卒園していくこどもたちのために

先生が書いてくださった言葉が

とてもこころに響いたので、

園長先生の許可を得て、少し転載しますね。


『誰にでも花は咲く<花が咲くとき>』

(全文は長いので、途中少し割愛しました)


春!花の季節です。園庭のプランターのパンジーも

名も知らない草花も今が真っ盛りです。

わたしはいろんな花が時期をたがえて咲き出すことがいいなあ、

と思っています。・・・・・・


ところで、みなさんは保育園でどんな花を咲かせましたか?

遊びや遊戯だけでなく、友達と接するときの心の動かし方で

咲いた花もあるでしょう。

運動会のかけっこでは負けたけど

友達にやさしくしてあげたことではまけない、などと

いうようなこともあるでしょう。


一人一人に咲いている花は、咲いたときも、

色や形もそれぞれに異なっています。

早く咲く花もあるし、

遅いけれど大きな花を咲かせることもあります。

それぞれ違っていることがいいのです。


一本の桜の木でも、早く咲く花、遅く咲く花があります。

同じ日に咲いて、同じ日に散ってしまうことになったら

つまらないでしょう。

皆さん一人一人のなかにも、すでにきれいに咲いた花、

今きれいに咲いている花、これから咲く花といろいろ

あるからいいのです。

保育園で咲ききれなかった花は小学校で咲かせればいい。

中学校からだっていい。

わたしは60歳を過ぎましたが、これから咲かせてみたい

と思っている花がたくさんあります。


一本の木には、小さな花も大きな花もあります。

ひとつひとつの花を細かく見れば、必ずといっていいほど

欠点があります。

花びらが欠けてしまった花も

あるかもしれない。

けれど桜の木、全体としては美しい。


一本の桜の木に咲く花はいくつくらいあるのでしょう。

皆さんが自分で咲かせることの出来る花は、

それよりも多いのです。

ほとんどはこれから咲く花です。

人と比べて咲き方が早いとか遅いとか、花の数が少ないとかいって

イライラすることはありません。

ひとつひとつ、たとえ小さな花でも自分が納得出来る花を

咲かせながら、いつの日にか、満開の花をつけた大木に

なることを夢見て、一生懸命生きていくことが

人間らしい生き方なのだと思います。


桜の花と違って、人に咲く花は散ることがありません。

人は死ぬまで花を咲かせ続けるのです。」


この話を、ケアルームのお客様と話していたら、

「でも、60歳で花を咲かせても61歳で死んだら

どうするんですか?」と答えられました。

わたしが言葉を探していると、その方は

「いえ、そうだ、わたしの父は亡くなる前日に

素晴らしい花を咲かせました。

その花のおかげで、残された家族は幸せでした。

そうか、死ぬその日まで花は咲くんですね。」

と目をうるませながらニッコリとお話になりました。


これから皆様にはどんな花が咲くのでしょう。

どんな花を咲かせたいですか?



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